2019年8月に横浜市開港記念館で開催された「JWPAサマーフォーラム2019 in 横浜」
プロのインタビュアーとの対談の内容の詳細を大公開します。
人気フォトグラファーの集客⼿法
第2部:選ばれる集客術
門出格宏×宮崎大地
●集客のために現在使っているツールは?
門出「ホームページとブログがメインで、あとは既存のお客様からの口コミがほとんどですね」
宮崎「うちはホームページを使い、もちろんブログもやっていながら、SNSだとインスタグラムとFacebook、それからPhotorait(フォトレイト)っていう媒体に掲載もしています。もっと言うと、エキテンなどの無料ツール、グーグルビジネス、様々なツールを使っていますね。カタログに関しても他社さんに置かせていただいて、毎月DMを打ったりもしています」
●ホームページ立ち上げ時のブランディングは?
門出「私が好きなことを好きなようにやりたいがために独立してひとりでやっていて、私のことを“好き”って言ってくれる人に来てもらいたいので。私のことを好きになってもらうにはどうしたらいいのかな、私のことを好きになってくれるのはどんな人かなって考えて、年齢とか趣味とか、職業とか、そういう感じで洗い出しをしました。こんな性格の人なんだろうなって、そういうところまでも考えて。ホームページやブログに書く文章も、どういうふうに書いたら“この人が好き”って思ってもらえるかを考えながら、言葉を選んで書くようにしていますね」
●洗い出した結果のペルソナとは?
門出「2パターンあって、まずは、写真を撮るのが好き、機械が好き、カメラが好きな人。“オタクっぽい人”っていうと言い方が悪いんですけど、私もオタク気質で、カメラを触っているとニヤニヤしちゃうんで、そういう人。あと、ほとんどの人がそうだと思うんですけど、写真を撮られるのが苦手な人、私も撮られるのが嫌いなんで。最近だと“インスタを見ていて疲れちゃったんだけど、門出さんのページを見てたらホッとして来ました”っていう人もいました。結婚して、戸籍を作るにあたって親御さんの気持ちを大事にする、みたいな、古風な考え方の人もわりと顧客層です」
●ミックスメディアの効果とは?
宮崎「こっちのメディアで見たものをこっちでも見たっていう効果を狙うために、いろんなところに情報をばら撒く、より多くのチャンネルを増やすってことなんですけど、いろんなところに網の目を引っかけることを戦略的にやっています。必ず実行できているかどうかは別として、試みている感じですね。いろんなところに仕掛けて、“あ、あそこでも見たな”っていう刷り込みを狙っています」
●集客できていない人が陥りがちなこととは?
門出「こちらの想いが届けばお申し込みをいただけることは経験上分かっているんですけど、まずは想いを見てもらわないと伝わらないので。それにはどうしたらいいのか、私も苦労しています。今やっているブログに限らず、インスタとかでもそうだと思うんですけど、1個アップしただけじゃ絶対にダメで、クモの巣をどんどん大きくするイメージなんですね。書いてみたけど効果がないからすぐに止めちゃうとか、“今日は疲れた”“今日は忙しい”とか、やらない理由を作っちゃてる人が“ブログ上げてもダメだよね…”ってことになってるんじゃないかなと思います」
宮崎「継続することができない、時間を作ることができない、お金がない、だいたいこれがやらない理由の3つなんですけど。まあ、“時間がない”っていうのであれば、睡眠時間を1時間削ればいいだけの話だから、寝なきゃいいだけですよね。“お金がない”であれば、借りればいいだけの話ですよね。無借金経営でまわしている個人事業主は、100万でも300万円でも国から借りればいいじゃん、それだけなんです。事業計画を立てて、書類を作る、その時間も睡眠時間を1~2時間削れば1週間ほどでできるはずだから、それを提出するだけの話なんですよね。あとは“継続ができない”、これはアルバイト代を払って、継続してくれる人にやってもらうってことをやればいいだけの話なんですけど、みなさんできていない。まあ、簡単に言うと“甘え”ですね」
●やっていても集客に繋がらない人は?
宮崎「何においてもそうだと思うんですけど、すごく単純に言うと、やり方が間違えているか、努力が足りないか、どちらかなんですよね。やっているかどうかは客観的に見て本当にやっているかどうか。第1部に登壇した池田さんは、たぶん1日に2~3時間しか眠らない日が毎日続いている人なんですけど、それくらい作業しているから集客できているし。だから、もっともっと頑張るか、もしくは、やり方が間違っている。やり方が間違っているのであれば、こういうセミナーに来て、いろんな人のやり方を積極的に聞いて、間違っていたら方向修正すればいいんですけど。人にも聞かないで“できないなぁ…”ってウジウジしちゃっている。この2つが原因だと思います」
門出「届けたい人にちゃんと想いが届いていないから、集客できていないんだと思います。第1部の内容に近くなりますけど、“自分らしさ”をきちんと分かって誰にそれを届けるか、その人たちに検索でヒットするにはどういうキーワードを使えばいいか。例えば、“結婚式・写真”だけではダメで、“自然なポーズ”とか“写真撮られるの苦手”とか、ほかとは違うちょっとニッチな、届けたい言葉を使うのがいいかなと思います」
●集客するために使っているテクニックは?
宮崎「今、新しく立ち上げていることが、大手さんがやられているまさに基本のことなんですけど。ターゲットであろう人物にヒアリングをして、ICレコーダーで録って、そこで出てきたキーワードを抽出して、カテゴリーごとに分けて、そのキーワードを散りばめたブログを100本書いていく、ということをやっています。それをブログとYouTubeと両方に掲載していって、マーケティングリサーチをかけて、ブログを修正していく。ということがひとつのテクニックですね。あと、いろんなところに情報を撒く、とりあえず無料のやつは全部やる、有料のやつは費用対効果を見ながらやるっていうことですね。情報化社会なので、“これが売れるだろう”“じゃあ、その根拠は何?”っていうのを必ず情報収集して、検証して、そこにお金と時間と労力を使う、ということをうちの会社ではやっています」
●お互いの強みと弱点は?
宮崎「門出さんがすごいなぁと思うのは、毎日1個ブログを上げているんですよね。僕は絶対に続かないんですよ、続いて1週間だと思うので。僕は業務命令でやってもらっているので、まあそれは組織として動いているのでいいんですけど。あと、メールの返信っていうのは、僕だと目の届かない範囲なんで。こだわりを持って、打ち合わせの前の最初の返信からひとりでやっているところは強みかなって思います。弱点は、圧倒的に眠る時間を削っても限界が早い、マンパワーが足りないところですね。それから、不得意なところがあってもそれを補ってくれる人がいないところだと思います」
門出「宮崎さんは、会社でやってるのが強みですよね。ワンマン社長の感じじゃなくて、組織として楽しそう。外から見ていて“あ、ここの職場って働きやすそうだな”っていうのが分かるところ。ギスギスしていたら、撮影を頼むのがイヤじゃないですか、そういうのを感じない、働いている人がイキイキしているのを感じます。あと、会社なのに、個人のお客様との付き合いが、よくできるなって。お客様と一緒にバーベキューしたりとかは、私の規模だと年に1回簡単にできるんですけど、組織でファン感謝祭を実現するには努力されているんだなっていうのを感じます。弱点は、あまり浮かばないんですけど、しいて挙げるとしたら。私が会社にしないのは何でもやりたがりなのと、人に任せるのが嫌いっていうのがあるんですけど。自分の目に見えない部分、手の届かないところが必ず出てきて、任せられる人がいればいいんですけど。私は心配性だから、人がやったことを自分でもう一回チェックしないと気が済まない、その辺の行き届かない点がもしかしたらあるのかもしれないですね」
●ウエディングのあと、リピーターになってもらうには?
門出「私は人が集まってワイワイすることが好きなので、集客のためにあざとくやってるつもりはなくて、単純に、私が撮影した方たちがずっと幸せでいてほしいなって。だから友人に年賀状を送るように普通に送ったりもします。私のスタンスとして、お客様を友だちみたいな距離感で撮りたいと思っていて、その延長で、子どもが生まれたとかの近況を送り合っているので。意識はしていないけど、ご兄弟とかお友だちの紹介はそれで繋がっているのかなと思います。基本的に、問い合わせが来ると“友達になりましょう”ってメッセージだと思っています」
宮崎「年に1回、7月にバーベキューを開催して、過去のお客様を呼んで一緒に過ごすこと。それにプラスして、年賀状を送っています。最近始めたのは、顧客管理ソフトにすべて入力して、DMやメルマガを発信していこうかなと。家族写真を撮るタイミングは節目節目にあって、いいリピーターになってもらいやすいので、そういった方々にクーポンを発行したり。一般的な王道なんですけど、そういったこともしています。あと、個人的にものすごく仲良くなったお客様は、うちに来て鍋をしたり、ノリで一緒にイベントや夏祭りに行ったり、旅行に行ったりしています。あとはLINEで繋がったりとか、ほんとに友だちのような感じですね。友だち関係の人がどんどん増えて楽しくなったらいいなって、ウエディングに関しては、それでやっています」
●これから目指すことは?
門出「私が結婚式を撮った新郎新婦のお子さんの結婚式を撮りたい、もしくは、参列者としてお父さんお母さんになられた、当時の新郎新婦たちと披露宴で一緒に飲みたいと思っています」
宮崎「今、チームというか、Photo Jellishの中に何人かカメラマンがいてくれるので、そのカメラマンたちがより活躍していける舞台を作るのが私の使命だと思っています。その方々がたくさん増えていって、お客さんがたくさん増えていって、カメラマンがもっともっと活躍できる舞台を作っていきたいなっていうのがひとつの夢ですね。それから、僕個人の最終的な人生の目標は、人生が終わったとき、要は死んだときに、1000人の人に葬式に来てもらいたいっていうのがあります。“あいつには世話になったよな”っていう人たちを1000人作るのが目標です。今はまだ100人くらいですかね」
●この業界を底上げするために必要なことは?
門出「入籍しても式を挙げない、考えてもいないっていう人たちに、結婚式を経験してほしいなって思うんですよね。私は結婚式が大好きで、親御さんの気持ちを想像するだけで泣けてくるので。動機づけで、親から勧められたから、でもいいので、とにかく結婚式をやってほしい。写真の力でそれを伝えられたらいいなって、業界のために、日本のためにできることかなって思います」
宮崎「門出さんとは視点が若干違うんですけど。カメラマンってけっこうひとりで活動している人が多くて。みんな自分の世界があって、自分の個性を発揮したいから独立しているんだと思うんですけど、もっとチームを組んでやっていったらいいのかなって。それがひとつの会社じゃなくても、チームとして何かうまく共用できるようなパートナーシップを組んでいくことができるんじゃないかって。1本の矢だと折れやすいけど、3本だともうちょっと強くなる、そういう形で協力していけば、個々のカメラマンは弱いんですけど、発信力が強くなっていくのかなって。そういう意味でもこのJWPAをやっているので、そこに繋がる活動をもっとやっていくといいなって思います。お互いに足りないところを補い合って、相乗効果でみんなよくなるように活動していくのが理想ですね」
門出格宏
Tadahiro Monde
佐賀県出⾝。2007年に脱サラ、ウェディング フォトグラファーに転⾝。2010年Photo感写設立。ほぼ100%エンド ユーザーの依頼のみで活動を⾏なっている。 ファミリーフォトのリピートも多数。
宮崎大地
Daichi Miyazaki
(株)ファーストブレイク代表、星稜⾼校出⾝。 18歳でウェディングフォトグラファーデビュー フォトグラファーが技術者ではなくアーティスト として活躍できる仕組みづくりを⽬指している。